洋服があればそこは劇場になる

デザイナープロフィール

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さまざまな分野のクリエーター達とのコラボレーションや演劇的プレゼンテーションによって、独自の世界を創り上げてきたシアタープロダクツ。2001年のデビューから今年で16年、革新的なマインドを持ち続けながらも大人っぽいムードにシフトチェンジしてきた。現在のデザイナーは武内昭と森田美和の2人。創業から11年間デザイナーを務めた中西と森田がデザイナー交代して4年目となった今、ブランドコンセプトである"洋服があればそこは劇場になる"の意味合いは、さらに深いものになっている。

もともと、シアタープロダクツの描く世界観は、キラキラ輝くポップで可愛らしいものだったと記憶している。大胆なプリントや色使い、ウィットに富んだデザインや素材加工など、その独創的なスタイルが常に東コレの話題の中心にあった。それが、今シーズンのトラッドをテーマとしたコレクションにしても、2月に発表した初のニューヨークコレクションにしても、"フェミニン"や"エレガント"という言葉がぴったりの表現方法に昇華されている。もちろん、今までの卓越した遊び心はそのままに。

「シンプルですっきりミニマムなものでも、どこかにキラキラした要素があればシアター(劇場)としての価値観は詰め込まれていると思います。着たい、欲しい、キレイ、など何か心を動かすものが大切。見た目の派手さはその時の気分で変わっていくけれど、心にふれるものは変わらずに継続していくと思う」(武内)。

素材のこなし方も変わってきたようだ。派手なプリントやパターンに頼るよりも、素材本来の美しさを活かしていくやり方を見いだしている。素材を出来る限りそのままで、という姿勢はとても日本人的なアプローチだと言える。

「素材へのこだわりは初めから強く、素材の作り込みから糸に至るまで注力していました。今ではさらに、そのこだわりを着る人にもっと感じてもらいたいと思うようになりました。デザインしても素材の良さを殺さず、加工する工程や考える時間を出来る限り少なくして、なるべくシンプルに生のままでという考え方です。これってとても日本人的だし、日本食の考え方にも通ずる哲学だと思う。日本人の遺伝子レベルでの感覚なのかな。日本人が世界に提案できることの1つなのかなと思います」(武内)。

色々な面で、削ぎ落された部分がある。NYコレクションで発表した作品にも、素材の良さが伝わるものを心がけ、素材の良さの分かる年齢の人にも伝わるような質の良さを追求した。「私は、シアタープロダクツ創業当初のキラキラした世界の中の地味なアイテムが好きでした。シルクウールのニットや毛芯を使ったジャケットなど。大人でも着られるものがあることを知ってほしいし、こっちがメインになればいいのになと昔から思っていました」(森田)。

2017-18年秋冬コレクション「TRAGRESSIVE(トラグレッシブ)」は、フォーマルな印象の「TRAD(トラッド)」を崩すことで、「AGRESSIVE(アグレッシブ)」に日常へ取り入れる、そんな新しい解釈のトラッドだ。「トラッドで思いつく王道のデザインを取り入れたかったので、チェック、ツイード、ケーブル編みなどを大胆に変えてみました。例えばシャギーウールのトレンチコートはパターンを大きくしてボリューム持たせて、反対に襟を小さくまとめるなど、バランスの変化も楽しみました」(森田)。

シアタープロダクツは、常に一般的なトレンドの流れとは別次元なところにいるような気がする。個性的なクリエイティビティを持っているが、一体そのインスピレーションはどこに?「その時に気になる事をあげて、一番気になるテーマについて取り上げます。あとは反骨精神みたいなものがあります」(森田)。

「みんなが向こうに走ったら、逆サイドに走るのが好きで常にそういう動き方をしたいなと考えています。たまに挑戦しすぎることもあるのですが、今シーズンのトラッドについてはいいバランスで逆サイドに飛び込むことが出来ました」(武内)。

武内は、ウールには特別な想いがあるという。「まだ自分がデザイナーを志した最初の頃、羊の原毛を使って作品を作っていました。憧れの作家に会いに行ったりしていました。今でも、私たちの洋服作りにウールは切っても切れない存在だし、当たり前のように常にある素材です。洋服を作っていて思う事は、人類って未だに原始的な生活をしているなということ。毛を刈って糸を作ったり、ボタンも角や貝を削って作ったり、でもそれが面白いなと思います」。

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