国内外の有力ブランドから愛される尾州産地

日本のウールテキスタイルの産地「尾州」とザ・ウールマーク・カンパニーの歩み

ファッションニュース

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日本のウールテキスタイルの産地「尾州」。熟練の職人の技、長い年月引き継がれてきた織機として最新機械が生み出すものづくりが、国内外から支持されている。ザ・ウールマーク・カンパニーは、尾州と共に様々な取り組みを行い、共にウールを盛り上げ、日本のウールテキスタイル産業発展のために歩みを共にしている。イントロダクションと5つの工場を連載形式で紹介する「尾州」ストーリーの第一回。

「尾州」の歴史と今

東京駅から西に向かう新幹線に乗って1時間半ほど、尾州産地に入るためには名古屋駅でさらに北に走る電車に乗り換える必要ある。愛知県と岐阜県の間に、一級河川の木曽川がゆったりと流れ、のどかな景色が広がる。街中には、昔ながらのノコギリ屋根が建ち並び、ところどころで「ガシャン、ガシャン」と機織りの音が聞こえくる。木曽川の豊富な水と温暖な気候に恵まれ、愛知県北西部から岐阜県にかけて栄えた繊維産地を「尾州」と呼び、国内のウールテキスタイルの生産を担ってきた。創造的で高品質な数々のテキスタイルを生んできたことから、「尾州」はイタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並ぶ世界三大毛織物の産地として知られ、世界各国からテキスタイルのバイヤーやデザイナーが足を運んでいる。 

尾州がウールテキスタイルを作り始めた時まで、歴史をさかのぼってみる。綿花の栽培と綿織物の生産が主流だった1800年代後半に、国内で先がけて毛織物の生産にチャレンジした。その背景で、ミリタリーウェア、羊毛輸入税が撤廃になったことが追い風となり、尾州のウールテキスタイルの産地としての歴史が幕を開ける。繊維産地というのは素材に特化して栄えるもので、ウールを扱うにはウールを扱うための専用の生産設備とノウハウが必須となる。製織、染色、仕上げ加工などあらゆる工程においてウール産地としてのチューニングが成功したことが今の尾州にとって大きな一歩となった。ウールテキスタイルの産地として、機械をアップデートしていき、少しずつノウハウが蓄積され、技術者が育ち、産地形態を築いていき、現在は国内の毛織物の約80%を生産する一大産地となった。

ウールテキスタイルの生産工程を紹介すると、大きく4つに分けられる。

1つ目に、オーストラリアなどから輸入されたウールの原料を整えて撚りをかけ、糸の状態にする「紡績工程」である。2つ目は、その糸を設計に沿って生地の状態をつくる「織り・編み」の工程である。織る工場を機屋、編む工場をニッターと呼ぶ。3つ目が「染色工程」で、「織り・編み」工程の前に染めることを「先染め」と呼び、織り上がったテキスタイル・編み上がったテキスタイルを後から染めることを「反染め」もしくは「後染め」と呼ぶ。そして4つ目が織られたもの・編まれたものを最終的な表情のテキスタイルへと仕上げていく「整理加工」の仕上げ工程である。化粧を施すイメージに近い。その他にも細かい工程が多数存在するが、尾州は各工程での専門性と生産性の向上を追求した結果、紡績、染色、織り、編み、整理加工という工程が基本的に分業体制で成り立っていて、産地内でこれら全ての工程をまかなっている。それぞれの専門工場が培ってきた技術を生かして協業することで、より高い品質を追求したり、新しい素材にチャレンジすることができる土壌となっていった。

特に、ウールに特化したさまざまな仕上げを行う「整理加工」の工程が、尾州産地の最大の特徴とも言える。整理加工場では、梳毛、紡毛それぞれに対して、洗い加工をはじめ、縮絨、乾燥、起毛加工など、蓄積されてきたノウハウに加えて、研究と開発が進むいくつもの特殊加工が適宜施されていく。

これまでの歴史の中で磨かれてきた産地の独自技術、熟練の職人たち、時にローテクとハイテクが入り混じったものづくりの結晶が、世界に誇る尾州産地の魅力である。 

ザ・ウールマーク・カンパニーとの歩み

ウールのグローバル オーソリティとして、ウールについての研究開発及びマーケてぃぬ活動を世界的に展開するザ・ウールマーク・カンパニーと、日本のウール テキスタイルの産地である尾州が密な関係にあることは言うまでもない。

ザ・ウールマーク・カンパニーは、世界のウールトレンドを一同に集めて紹介するとともに、世界中のウールテキスタイルとブランド・リテーラーとを繋ぐ活動でもある“ウールラボ”を尾州と取り組んでいる。いくつかの工場はウールラボでその優れたウールテキスタイルを世界中に発信し、海外からの問い合わせに結びついている。また、尾州の個別の工場との深いリレーションにより、多くの優れた日本の旗屋と海外ブランドの橋渡しも行っている。 

また、ウール テキスタイルの技法や企画ノウハウの学びの場をファッション業界に提供する「尾州・テキスタイル・カレッジ」とも協業関係にある。ファッション業界のプロフェッショナルを対象にトレーニング セッションを実施している尾州・テキスタイル・カレッジは、ウール テキスタイルに特化したファッション業界向けの講習会を行い、ウール テキスタイルの知識を提供しており、カレッジのトレーニング資料及び関連の販促用品等がザ・ウールマーク・カンパニーによって提供されている。

 ザ・ウールマーク・カンパニー 日本支社長 サミュエル・コクデは「尾州という、日本の一大毛織物産地と、ザ・ウールマーク・カンパニーが協業し、ウールをいっそう盛り上げていく取り組みができていることを非常に素晴らしいことだと感じています。マーケティングやPRも含め、日本の宝である尾州のウールにおける素晴らしいモノづくりを世界に広げるための活動をいっそう強化していきたいと考えています」と述べている。

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