BFGU・The Woolmark Company Next Generation Award初代優勝者発表

ザ・ウールマーク・カンパニーが文化ファッション大学院大学(BFGU)とのデザインアワード初代優勝者を発表

意識

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ビジネス・オブ・ファッション(BoF)が発表する世界ファッションスクールランキングのBAプログラム(学士課程)総合ランキングで、2015年、ロンドンのセントラル・セントマーチンズに次ぐ2位にランクインした文化服装学院。卒業生には、山本耀司、コシノヒロコ、桂由美らが名を連ねる。

ザ・ウールマーク・カンパニー(TWC)は、2017年、同じ学校法人文化学園の運営傘下である文化ファッション大学院大学ファッションウィーク(BFGU FW)のオフィシャルスポンサーに名を連ねた。会期中におこなわれるファッションデザインコース2年次修了ショーは、著名ファッションデザイナーをはじめ、ファッション業界を牽引する面々、さらには大使館や省庁関係者がフロントローに駆け付け、ゲスト総数は一般参加も含め約700 人という大規模なファッションショーだ。

初代優勝は、西村健太

TWCは、2017年1月、オーストラリア産メリノウールを用いた作品で競われるデザインアワード“BFGU・The Woolmark Company Next Generation Award”を共同主催した。初代優勝者に輝いたのは、西村健太だ。

主な審査ポイントは、明確なコンセプトとインスピレーションがありクリエイティビティ溢れるコレクションであること、メリノウールの特性が活かされた製品・素材開発がなされていること、商業的洞察力を伴うプレゼンテーションであること。西村はこれに加え、熟考されたウールの使用方法、ウールが活かされた大胆でクリエイティビティの高い作品が評価された。

同アワードは、TWCとBFGUの取り組みの1つである。両者は様々な取り組みを行っている。ウールに関する背景や様々な知識、革新的な新技術を知るための講習会、ウール・アプリシエーション・コースの実施。インターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP)のファイナリスト、英国の新進デザイナーAGI&SAM (アギ&サム)による講義の開催。学校構内には、TWCの活動やウールの機能を伝えるポスターやパネル、映像モニター付きスタンドも設置されている。また修了作品の製作に当たっては、TWCの仲介により、国内サプライヤーからウールの生地がBFGUの学生へ提供されている。

BFGU教授 櫛下町氏は、「ザ・ウールマーク・カンパニーとのパートナーシップにより、ウールの最新のイノベーションに触れ、学ぶ機会を得られることに大変感謝します。今回のアワードは、多くの院生がウールを使ったデザインにいっそう熱心に取り組むきっかけとなり、彼らのウールへの探求心はいっそう高まりました。今後の取り組みも楽しみです」と述べている。

作品に込めた思い

受賞を受けて西村は、「幾つかの賞で入賞まではいくけれど、優勝が掴めないでいた。ようやく納得のいく作品ができ、優勝を手にすることができた。それも大好きなウールで。こんなに嬉しいことはありません」と語った。西村は、第16回YKKファスニングアワード入選、Tokyo新人デザイナーファッション大賞2016入選、題91回荘苑賞 1次審査通過中、という実績を持っている。

西村は続けて、ウールへの想いを語った。「もともと、ジャケットを作るテーラーになりたかったんです。学校に入って色々な素材を使いましたが、その中でジャケットを学ぶ時にウールをじっくり使ってみて、アイロンで癖をとると平面の生地なのに立体の生地に変化するし、他の素材には決してない柔軟性や変化が面白くて、変幻自在だなあと思い好きになりました。原毛から服を作ったこともあります、長い時間をかけてニードルパンチで布にして服を作って。ウールには特別な想いがあるんです。」

優勝作品のテーマについては、「ニットが好きなんです。布だとどうしても端布が出てもったいない。その点ニットは素材を無駄なく使えますよね。今回の作品はニットにこだわって、そして僕のデザインのテーマである“ネオモルフ(突然変異した遺伝子)”を表現してみました。もともと見慣れた存在に何か偶然的な力を加えることで思いがけない変化が生まれる、そういうのを表現しました。具体的に言うと、波紋です。静かな水面に石を落すと波紋が広がるように、もともとあった存在に外的要因を加えることで何かがうまれる時の美しさを表現したくて。既成概念を壊し、意識改革を促して、はっとさせたい。驚きと疑問を喚起して、待てよ、この服は動いたらどうなるだろう?と考えさせたい。普段多くの人が見過ごしているけれど、ファッションは表面的なデザインだけじゃなく、その先にある、例えば動いた時にどう機能するかというところまで大切だと思うから。」と語った。

作品におけるウールの役割については、「波紋を表現する円状のリブを作るのに、素材に結構な負担がかかるんです。他の素材だと固くて不自然に凹凸が出てうまくいきませんが、ウールは柔らかさや柔軟性があり、平面で円が描けます。僕のデザインに自然に寄り添って、負担をカバーし、自由な表現を後押ししてくれました。ウールの柔軟性が作品にフィットした結果です。」

メインの作品は、黒いニットドレスと、赤いニットドレス。両方ともウール混率80%以上の素材でできており、発色や縮みを生むために少量のナイロンやアクリルを混紡している。先に作った黒はデザインとクリエーションにフォーカスしてボリュームをもたせ、波紋をふんだんに表現することに成功した。次に作った赤いニットドレスは、軽さを出し、着心地の良さや実用性も加味した。

西村は今後について、「まずは、今回の優勝によって、大好きなウールの故郷であるオーストラリアに行ってウールのことを学べるのが本当に楽しみです。ウールには無限の可能性があると思うから、同じウールという素材を使って全く別の表現ができたり、そういうバリエーションを増やしたい。それに多くの人が知らないウールの良さ、例えば再生可能な資源であることであったりをもっと多くの人に知ってもらいたいから、僕がそれを伝える役割もできればと思う。そして将来は、僕がウールで作った服を多くの人に着てもらうのが夢ですね。」と語った。

また、惜しくも優勝は逃したものの、賞に作品をノミネートした広沢ダニエル晃と清水翔は、今回の参加について、

「今回は残念だったけど、これを励みに頑張ろうと思えた。もっともっとウールを追求したい。そして将来はインターナショナル・ウールマーク・プライズに参加したい。」(広沢)

「ウールの2面性が好き。梳毛と紡毛とか、まったく違う側面を持っている。ウールというと秋冬のイメージが一般的だが、天然のエアコンと言われるウールを夏用にデザインしてみたい。今回、スポーツの分野にウール素材が盛んに使われるようになってきているという話を改めて伺って、驚いたし、益々興味が湧いてきた。ウールの魅力やイノベーションを、これからも学びたい。」(清水)と語った。

 

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