ラグジュアリー手編みニット持続可能なストーリーを携えて

ダニエル・チールとインドの女性コミュニティとのコラボレーションが実現

意識

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シドニー東部の郊外ウラーラからインド南部の州へ。オーストラリアの手編みニットブランドのディレクター、デザイナーを務めるダニエル・チールが描く夢−最高級の手編みニットを生み出すこと−は着実に、現実化していた。

夢の最強タッグ

手編みニットを扱う豪ブランド、ダニエル・チールのウェブサイトでは、アイテムをどこかポエム調で表現している。例えば“至福のハンドニット”。ショップページをクリックすると、ディレクションした8枚の美しいニットが目に飛び込んでくる。クラシカルなクルーセーター、えりつきのケープ、着丈の短いカーディガン、ケーブルニットのマフラー。一覧はクリーム色で統一されているが、アイテムを選ぶとカラーが選べるようになっている。しかしこれらのアイテムの本当の素晴らしさは、手編み職人というタブをクリックして初めて分かるだろう。


至福のハンドニット

そのページを開くと、女性たちの笑顔があふれている。インドのタミル・ナードゥ州、エダヤンチャバディーで手編みの仕事をしている女性たちだ。ダニエル・チールのニットは彼女たちの手で作られている。カラフルなサリーに身を包んだ彼女たちは、そのほとんどが妻であり、母であり、生計を立てるために手編み技術を習得し日々の収入を得ている。

彼女たちは特殊手編みの実習制度を活用しているのだ。これはチールが3年前に設けたもので、他にないアイテムを作り出すために適した場所を世界中で探した結果、ここエダヤンチャバディーに辿りついた。以来チールはみんなが利益を享受できる強力で持続可能なワークシステムを築き上げてきた。

「彼女たちにはまず英語を教えました。手編み技術、そして完璧に仕上げることまで。特に仕上げは、これまで強調されていなかったことなんです。もちろん、手編み技術もかなり高水準です」とニールは話す。「実習制度を修了すると、彼女たちは私のもとで働くかどうかを選ぶことができます。最初は実習制度に基づいた賃金ですが、経験を積むと正規の給料を支払っています」

チールがまず目指したのは、世界の名だたるコレクションのキャットウォークに自身の手編みニットウェアを登場させること。そしてパリのアトリエで裁縫師が作ったオートクチュールのニットと比較すること。「最高級の手編みニットです。みなが最も驚き魅了されたのは、こうしたニットがどのように作られているか。ブランドと切り離せば、完全にハンドメイド、手編みだということでした」



最新のコレクションでは、ゴストウィック・メリノウールが使用されている。オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州ニューイングランド台地で、1834年から6代にわたり生産されているウールだ。この牧場では持続可能な放牧で羊を育てており、エコロジーを推し進め、羊の健康・福祉に配慮した経営を実施。チールがここを訪れるまで、極細16ミクロンのメリノウールは機械編みのみに使用されていた。しかしチールの要求に応えるように、ウール糸は急速に進化を遂げたのだ。

アイテムはザ・ウールマーク・カンパニー認定を受けており、それぞれの価格は500〜1000豪ドル。と同時に、手編みニットを取り入れたい他の高級ブランドにこのサービスを売り込もうと奮闘している。ビジネスチャンスが広がれば、インドの女性たちの仕事も増えるというわけだ。そして労働環境も、チールの手厚い保護の下どんどん改善されている。チールは6〜8週間ごとに現地へと足を運び、女性たちと密に仕事をする。1回の渡航で6〜10日ほど滞在するため、詳細なトレーニングマニュアルもチールが執筆しているほど。段階を追って分かりやすくプロセスをまとめ、仕上がりが統一されるように工夫されている。

正確無比で統一された手編みなのに、1枚1枚のニットはそれでもなおユニークだ。それぞれには登録ナンバーが割り当てられていて、どのような過程で製作されたかを特定することができる。「購入後メンテナンスできますし、誰が編んだかということからその他の製品情報まで、何でもお知らせすることができます」とチール。オーストラリアの牧場から中国の紡績工場、そしてインドの手織り職人たちから世界中の顧客へ。手編みアイテムが辿ってきた道のりに自信を持っているからこそ言えることだ。


香港で行われた2015ファッション・ウィークに参加

2015年1月、ダニエル・チールは香港で行われたファッション・ウィークのショーに登場。真のグローバルブランドとしての地位を確固たるものにするためだ。しかし、チールの夢はまだまだ続く。「どんどん大きく膨らんでいます。共に働く女性たちはみな素晴らしい人ばかり。実を言うと、できるだけ多くの女性たちとこれからも一緒に仕事をしていきたいのです」

ダニエル・チールのアイテムやブランドについて、さらに詳しくはdaniellechiel.com

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