繊維からファッションへ

メリノウールから服を作る

繊維

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世界で最も優れた繊維、メリノウールがファッションに姿を変えるまでの道のり。それはある種の職人芸だ。繊維から糸へ、糸から生地へ。どのステージも綿密に管理され、世界の名だたるデザイナーたちが才能を発揮するベースとなるのだ。これは過去、現在、そして未来においてもきっと変わらない。

 

1本の繊維が“ファッション”となる、そのプロセスとは

牧羊場で刈られたメリノ羊の毛は、紡績機、機織工、編み機によって姿形を変えていく。昔から受け継がれている技術や伝統と現代テクノロジーをうまく組み合わせ、ソフトで革新的な糸・生地を作り上げていく。出来上がったものは、世界中のファッションデザイナーがこぞって採用している。

オーストラリアでメリノ羊の牧羊が導入されてから200年ほどだが、その間このユニークな製造過程は実はほとんど変わっていない。とはいえ、活気づく現代の繊維産業はそのささやかな始まりからはほど遠いほど、テクノロジーや機械が進化を遂げている。できあがった生地のクオリティは世代が変わるごとにレベルアップ。それはオーストラリアのメリノウールを使用したウェアがいかに豊富に出回っているかを見れば一目瞭然だ。

原毛から繊維へ

メリノ羊の毛は牧場を出たあと、汚れやラノリン(原毛に付着している羊毛脂。化粧品等によく使われている)を落とす作業に入る。そして絡み合った繊維を長く1本1本解きほどく“カーディング”作業へ。並行にして重ね合わせていき、ねじれのない繊維の集合体である“ウールトップ”を作っていく。

糸を紡ぐ

ウールトップは撚りをかけられロービングになって紡ぎ出されていく。繊維どうしをつなぎ合わせることにより、切れ目なく強い糸が作られるのだ。繊維長の長い ウールトップをなめらかなテクスチャーに変え、仕立てスーツ用などの生地を作り上げるこのプロセスは“梳毛紡績”と呼ばれている。いっぽう“紡毛紡績”では繊維長の短いウールトップをバルキーな糸にして、ニットや布帛のジャケット用の生地となる。

 

編み、そして織り

この段階での糸は、いわゆる原料。編んだり織ったりしてはじめてファッションアイテムとなる。ニッティング(編み)は、ループを作り、組み重ねていくことにより糸を生地に変えること。ウィービング(織り)による生地は、織機で糸を正しい角度で織り合わせていくことでできる。“経糸”の打ち込み本数や、そこに “緯糸”を、上下にくぐらすことでさまざまな柄を作ることが可能だ。

 

染め

ウールの染色は、ウールトップ、糸、生地、そして衣服の完成形と、熱湯と染料があればどのステージでも行うことができるのが特徴的だ。

仕上げ

そしていよいよ仕上げの段階。ここが最も重要なプロセスだ。生地の触り心地、見た目の美しさもここでさらに高まる。あとはデザイナーやパタンナーの手によって、ウールに魔法がかけられるのを待つだけ。

デザイン過程が済んだら、綿密に計算された服のパーツを縫い合わせる。消費者の期待を上回るためには相当な縫製スキルが必要なだけでなく、ウールの特徴をよく理解していなければならない。

 

デザインする

メリノウールは、いわば真っ白なキャンバス。デザイナーやメーカーがそこに各々の才能を描き出す。ウールの新テクノロジーや加工は日々進化を遂げ、手触り、フィニッシュなどの斬新な手法もどんどん幅が広がっている。そして、さらにメリノウールが持つ生来の個性を高めてくれる。

 

世界の一流ファッションデザイナーたちがこぞってメリノウールを使うのには、きちんと理由があるのだ。高品質で心地よく、形を変えて取り入れやすく扱いも容易。そして美しいドレープ性。ウールだけが持つこれらの特性が、彼らのクリエイティビティを強く刺激している。

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