どうしても譲れないものがある

ラフル・ミシュラの3つの”E”とは

意識

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長年培ったスキル、そしてクラフトマンシップ。これらを探求し続けることで、ラフル・ミシュラの中の情熱も絶えずみなぎり続ける。

2013/14インターナショナルウールマーク・プライズ(IWP)のファイナルにおいて、ffiXXed(フィックス)、Chirstopher Esber(クリストファー・エスバー)、Sibling(シブリング)、Altuzarra(アルチュザラ)を破り優勝。ファッション界の新星となったミシュラにとって、デザイン哲学は自身を常にインスパイアし進化させるものだ。

変わるべきもの、変わらざるべきもの – 繊維、素材、哲学

ミラノで行われた2013/14 IWP決勝から一夜。刺しゅうや手織り技術で審査員を感嘆させたラフル・ミシュラは、今なお優勝したことが信じられない気持ちでいっぱいだった。

「人生で最高の晴れ舞台です。まるで夢のよう。頬を1000回はつねったに違いありません。優勝してからTwitterにたくさんのお祝いメッセージが届きました。返信するのに夜中2時までかかったんですよ」。

優勝を決定づけたミシュラのコレクションは、メリノ・ウール糸で斬新なグラフィック刺しゅうを施したジャケット、ドレス、パンツ。刺しゅうのグラフィックデザインは、8枚の花びらを持つ蓮の花が複雑なフォルムに変化するイメージを元にしている。これは今回のデザイン画を単に形にしたというわけではなく、ミシュラのデザイン哲学そのもの

「蓮の花はとても純粋なもの。とげもなく、ウールと同じく汚れのないものです。ブッダの言葉でこんなものがあります。“泥水から伸び上がり、水の上でしっかりと立ち、汚されることもない。まるで蓮の花のように”。ここからインスピレーションを得ました」。

「コレクションを生み出すとき、私はいつも3つのEを頭に描いています。environment(環境)、employment(雇用)、empowerment(エンパワーメント)です。常にこの3つを心に留めておけば大丈夫です。私の作品は変革を繰り返し進化していきますが、この哲学は常に変わらずあるべきなのです」。

ラフル・ミシュラの優勝コレクション

“ラグジュアリー”の概念を覆す

「私は単に服をデザインしているつもりはないのです。メリノ・ウールの高い潜在能力にフォーカスしたものを作るために来ました」と話すミシュラ。最高級のオーストラリア産メリノ・ウールを使った自身のコレクションは、“地球に優しいラグジュアリー”だと表現する。そしてその作品づくりは新興国の恵まれない人々を助けることになるという。

“ウールは可能性を秘めた繊維”

「ウールは、限りない可能性を持つ繊維だと強く信じています。ウールが私に教えてくれたもの、それは誰もが共存できる、関わり合える素晴らしい参加システム。機会に恵まれないだけで卓越したスキルを持つ人々と共に今仕事をしていますが、それはつまり、失われていたかもしれない技術の恩恵を受けているということなのです」。

母国回帰。これこそ、ファッションデザインへの情熱を満たすもの。「情熱を持ち続けることはとても大切。クラフトマンシップは他の仕事とは異なり、ただ金銭を稼ぐためのものではないのです。私にとっては情熱をもたらしてくれるもの。ファッションという名の魔法です」

「ファームから始まり、世界中のキャットウォークへ。ウールの魅力、そして情熱や感性を込めてデザインするよう心がけています」。

ミシュラはまた、ウールは寒い時期にだけ着るもの、というありがちな誤解を払拭することにも力を注いだ。今回の賞レースで披露したのは、通気性に優れた特色を生かした春夏コレクション。大半の国や地域で1年を通して着られるスタイルだ。

「ウールを涼しく着られる生地を作ることに執心しました。インドを含め多くの国は冬がありません。“ウールは冬だけ”という概念を打ち崩したかったのです。摂氏50度でもウールは着られる。コットンよりも実は快適だということをデリーで伝えたい。さらにインド以外の国にもこのメッセージを届けたいのです」とミシュラは意気込む。

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